クリニック経営:金融機関とどう向き合うべきか その4

クリニック経営:金融機関とどう向き合うべきか その4

第4回:銀行とどう付き合うべきか

― 「依存しない、対立しない」関係をつくる ―

いつも俊爽会グループのブログをご覧いただき、ありがとうございます。
俊爽会グループ スーパーバイザー(SV)の堀尾です。

本シリーズでは全4回にわたり、
クリニック経営における融資と金融機関との向き合い方
実務に即して整理してきました。

  • 第1回:銀行の視点
  • 第2回:銀行が事業計画書で見ているポイント
  • 第3回:自己資金と属性の考え方

最終回となる今回は、
「銀行とどう付き合うべきか」
という関係性の話を整理します。


銀行は「味方」でも「敵」でもない

金融機関という存在に対して、

  • 味方につけるべき存在
  • できれば関わりたくない存在

といった両極端な捉え方をされる先生も少なくありません。

俊爽会グループの考えは、
そのどちらでもありません。

銀行は、

『経営を支えるための外部のインフラの一つ』

です。

感情的に距離を詰める必要も、
過度に警戒する必要もありません。


「1行だけ」に依存するリスク

開業時から、
1つの銀行とだけ取引を続けるケースは珍しくありません。

もちろん、
信頼関係を築くこと自体は大切です。

ただし、
1行に依存しすぎる状態には注意が必要です。

  • 経営状況が一時的に悪化したとき
  • 追加融資が必要になったとき

その銀行の判断一つで、
選択肢が極端に狭まる可能性があります。

俊爽会グループでは、
複数の金融機関と関係を持つこと
リスク管理の一つとして考えています。


金融機関を「使い分ける」という発想

ここで誤解してほしくないのは、
銀行同士を競わせたり、
条件交渉を煽ることが目的ではないという点です。

大切なのは、

  • メインで付き合う金融機関
  • 補助的に関係を持つ金融機関

を分けて考えることです。

例えば、

  • 日常的な相談や資金管理は地元金融機関
  • 長期・低利の資金は公的金融機関

といった形で、
役割を分けるという考え方です。


銀行選びで最も重要なのは「担当者」

銀行名や規模よりも、
実務上の影響が大きいのが担当者です。

融資の最終判断は、
本部の審査部が行います。

その際、
審査部に提出される資料や説明は、
すべて担当者を通じて伝えられます。

つまり担当者は、

先生の計画を

『銀行内部に伝える「翻訳者」』

です。

  • 話をきちんと理解してくれるか
  • 数字や構造を冷静に見てくれるか
  • 無理な提案にブレーキをかけてくれるか

こうした視点での相性は、
銀行名以上に重要です。


銀行と「良い距離感」を保つために

俊爽会グループが考える
金融機関との良い関係とは、

『情報を隠さず、期待させすぎず、必要以上に依存しない』

という関係です。

  • 良い時も悪い時も、状況を共有する
  • 無理な計画で期待を持たせない
  • すべてを銀行に委ねない

この姿勢が、
長期的な信頼につながります。


融資交渉は「経営者になるプロセス」

融資の場では、
医師としての専門性よりも、

  • 数字を見る視点
  • リスクをどう考えているか
  • 長期的な意思決定の軸

が問われます。

これは、
ドクターから経営者へと視点を広げるプロセス
でもあります。

俊爽会グループでは、
このプロセスを経た先生ほど、
開業後の経営が安定しやすいと感じています。


まとめ:潰れない経営が、良い医療を支える

本シリーズを通じてお伝えしてきたのは、
派手な融資テクニックではありません。

  • 無理のない借入
  • 現実的な事業計画
  • 余白のある資金設計
  • 適切な距離感の金融機関との関係

これらはすべて、

『理念に基づいた医療を長く地域で続けるための土台』

です。

潰れない経営があってこそ、
質の高い医療が続きます。

俊爽会グループは、
そう考えています。


シリーズを通して

この4回シリーズは、
「積極的に借りる方法」や
「有利な条件を引き出す交渉術」を
お伝えするものではありません。

経営を守るための考え方
共有することが目的でした。

この視点が、
これから開業を考える先生、
すでに開業されている先生の
判断軸の一つになれば幸いです。