クリニック経営:金融機関とどう向き合うべきか その1

クリニック経営:金融機関とどう向き合うべきか その1

第1回:銀行はドクターの何を見ているのか

 ― 融資は「信頼の設計」である ―

いつも俊爽会グループのブログをご覧いただき、ありがとうございます。
俊爽会グループ スーパーバイザー(SV)の堀尾です。

開業を考えるドクターにとって、金融機関との融資相談は避けて通れないプロセスです。
一方で、

  • 「医師なら融資は通る」
  • 「事業計画書は形式的なもの」
  • 「銀行は言われた通りに対応すればよい」

こうした認識のまま融資交渉に臨み、開業後に資金繰りや経営判断で苦しむケースをよく耳にします。

本シリーズでは、俊爽会グループが考える
「長く続くクリニック経営のための、金融機関との向き合い方」
について、全4回に分けてお伝えします。

第1回となる今回は、
「銀行はドクターの何を見ているのか」
という根本的な視点から整理します。


融資は「お金を借りる作業」ではない

まず大前提としてお伝えしたいのは、
融資交渉は単なる資金調達ではないということです。

銀行にとって融資とは、

  • いくら貸すか
  • いくら返ってくるか
  • どれくらいの期間、安定して返済されるか

を判断する行為です。

つまり銀行は、
「このクリニックは長く続くのか」
を最も重視しています。

俊爽会グループが考える融資交渉とは、
銀行に対して「数字を見せる場」ではなく、
経営の継続性をどう設計しているかを説明する場です。


銀行が見ているのは「売上」ではなく「継続性」

多くのドクターが、事業計画書で最も力を入れるのが売上予測です。

もちろん売上は重要です。
しかし、銀行員が真っ先に確認しているのは、実は別の点です。

それは次の3つです。

① 継続性

このクリニックは、

  • 無理な集患計画になっていないか
  • 人員体制は現実的か
  • 医師本人が疲弊しない設計か

短期的に伸びても、潰れる計画は評価されません。


② 再現性

計画が、

  • 特別な偶然
  • 一時的なブーム
  • 個人の気合や根性

に依存していないか。

「なぜ、この数字になるのか」
「別の状況でも成立するのか」

この説明ができるかどうかが重要です。


③ 人となり・姿勢

意外に思われるかもしれませんが、

ドクター本人の考え方や姿勢も、
計画の信頼性を補足する要素として見られています。

  • 地域に根ざす意思があるか
  • 長期的な視点で語れているか
  • 数字に対して誠実か

これは、事業計画書の行間や、面談での受け答えから判断されます。

ただし、これらはあくまで計画の前提が現実的であることが前提にはなります。


「医師だから融資が通る」は半分正解、半分誤解

確かに、医師は社会的信用の高い職業です。
そのため、融資そのものが否決されるケースは多くありません。

しかし、

  • 条件(金利・期間・保証)
  • 追加融資のしやすさ
  • 経営が苦しい時の対応

これらは、最初の融資時の印象で大きく差がつきます。

俊爽会グループでは、
「通るかどうか」ではなく、
「どのような条件で、どれだけ長く付き合えるか」
を重視すべきだと考えています。


俊爽会が考える「良い融資関係」とは

俊爽会グループが目指しているのは、
金融機関と対立する関係ではありません。

また、全面的に依存する関係でもありません。

目指すのは、

『経営の状況を正しく共有し、お互いに無理のない形で長期的に支え合える関係』

です。

これは、
理念に基づいた医療を、長く地域で続けるため
に欠かせない基盤です。


次回予告:銀行は事業計画書の「ここ」しか見ていない

次回は、
銀行が事業計書のどこを見て判断しているのかを、
より具体的に解説します。

  • 借入額の妥当性
  • 保険診療だけでの返済力
  • 経費構造の現実性
  • 下振れ耐性

感覚論ではなく、
銀行実務の視点で整理します。

これから事業計画書を作る先生、
すでに作成した計画を見直したい先生にも、
役立つ内容です。