なぜ顧客ターゲティングとペルソナ設定が重要なのか
クリニックを開業したものの「患者数が安定しない」「1人当たりの生産性が低い」と悩む経営者の方は少なくありません。診療技術に自信があっても、来院される患者層がばらついていると、診療の効率やリピート率が下がり、結果として経営が不安定になってしまいます。
その解決の第一歩が「顧客ターゲティング」と「ペルソナ設定」です。これは単なるマーケティング用語ではなく、クリニックを最短で軌道に乗せるための経営戦略そのものといえます。「顧客ターゲティング」や「ペルソナ設定」を決めるという事は、その患者さましか診ないというわけではありません。これらを軸として、優先順位を作る事で、効率的に診療を行ったり、広告を打つことが出来ます。
顧客ターゲティングの基本
理想の顧客像を明確にする
「誰に来てもらいたいのか」を具体的に決めることが、ターゲティングの第一歩です。
例えば、
- 仕事帰りの30〜40代会社員
- 小児医療を求める子育て世代の母親
- 糖尿病疾患を持つ高齢者層
このようにターゲットを具体的に絞ることで、診療時間の設定、アクセス方法、情報発信の仕方が自然と変わります。
ターゲティングの失敗例
- 「誰でもいいから患者を集めたい」と考える
- 広告媒体を絞らず発信して費用だけがかさむ
- 特徴のないクリニックになってしまう
結果として「地域の中で埋もれてしまう」ことになります。
ペルソナ設定で深く理解する
ターゲットをさらに具体化するのが「ペルソナ設定」です。これは架空の一人の患者像を作り、その人の生活背景・価値観・悩みを想定する手法です。
ペルソナの具体例
- 名前:佐藤太郎(仮名)
- 年齢:42歳
- 職業:会社員(営業職)
- 悩み:高血圧とメタボを指摘されているが、忙しくて通院が続かない
- ニーズ:夜遅くまで診てもらえるクリニック、生活習慣改善の具体的アドバイスが欲しい
このように「一人の顔が見える」状態にすることで、診療方針・受付時間・情報発信の内容がぶれなくなります。
俊爽会グループでの実践例
私たち俊爽会グループでは、理念の一つに「実践型全人的医療」を掲げています。これは単に病気を診るのではなく、患者さんの生活や予防医療まで含めて支えるスタイルです。
その実現のために、ターゲティングとペルソナ設定を徹底しています。
例えば、地域ごとに
- 子育て世代が多いエリア → 小児科と皮膚科の連携を強化。予約システムの導入。小児疾患や皮膚病の疾患啓発。
- 高齢者が多いエリア → 内科と訪問診療、訪問看護・介護施設などと連携。ワクチンの啓発。
- 会社員が多いエリア → 夜間診療やオンライン診療。自動精算機の導入。健康診断、人間ドックの案内。慢性疾患の疾患啓発。
こうした取り組みで「来てほしい患者層に響く」サービスを提供できるようになり、生産性を高めています。
- 顧客ターゲティングとペルソナを活用した経営改善の流れ
- 現状把握:来院患者の年齢・性別・主訴を整理
- ターゲット設定:理想とする患者層を決める
- ペルソナ作成:架空の人物像を細かく設計
- 施策展開:診療時間・サービス・広報を調整
- 検証と改善:実際の患者層と比較しながら修正
よくある質問と答え
Q. 患者を絞ると来院数が減りませんか?
A. ターゲットを明確にした方が患者から「自分のためのクリニックだ」と認識されやすくなります。結果として紹介やリピートにつながります。またターゲット層は一つではなく、人材的、資金的余力があれば徐々に増やしていきましょう。
Q. ペルソナはどれくらい細かく設定すべきですか?
A. 年齢や性別だけでなく、家族構成・職業・価値観まで具体化するのが望ましいです。そこまで設定すると、施策に一貫性が生まれます。
まとめ
顧客ターゲティングとペルソナ設定は、単なるマーケティング用語ではなく、クリニックを最短で軌道に乗せるための必須戦略です。
「患者に選ばれるクリニック」になるには、誰を理想の患者とするかを決め、その人の生活背景まで理解することが欠かせません。
俊爽会グループでも実際にこの考えを導入し、地域や患者層に応じたサービスを展開してきました。その結果、スタッフの生産性も高まり、患者満足度も向上しています。
経営で悩む先生方にこそ、まずは「理想の患者像を描く」ことから始めていただきたいと思います。