クリニック経営:最短で軌道に乗せるための「内外装」とは

クリニック経営:最短で軌道に乗せるための「内外装」とは

はじめに:「生産性が低い」の原因は診療内容だけではない

私がクリニックを作ってきて、内外装において、もっとこうだったら良かったのにと後悔することがいくつかありました。――“内外装設計が非効率だと、診療の流れが妨げられている”場合があります。

クリニック経営において「動線」「スペース配分」「視認性」といった内外装の設計は、単なる見た目の問題ではありません。
それは、診療効率・患者満足度・スタッフのストレス・集患力すべてに直結する経営課題です。

本記事では、俊爽会グループの開業支援・運営経験から、最短で軌道に乗るための内外装設計のポイントをわかりやすくご紹介します。


内外装で決まる“生産性と信頼感”の法則

① 診察室は出来れば2つ以上、「診察し続けられる設計」を

1人当たり生産性を高めるためには、医師が“止まらずに診察し続けられる環境”が不可欠です。

診察室を2つ以上確保しておくことで、

  • A室で診察中 → B室で次の患者の問診や処置準備
  • 看護師・受付スタッフが事前準備を行える
  • 医師の待機時間ゼロで回転率が大きく向上
  • 患者数が増えてきた時に2診察体制に出来る

という状態が作れます。

これにより、1日30名→40名超えの対応も無理なく可能になります。

✅ 実例:俊爽会グループのクリニックでは、常に2診体制を前提に動線を設計しています。


② 患者とスタッフ、両方の“動線”を完全に分ける

「患者さんが迷う」
「カルテが通り道に溜まる」
「物品の補充中に患者とぶつかる」

こうした事象は、すべて動線設計のミスによって起きます。

理想は、

  • 患者動線:受付→待合→診察室→会計(迷わず直線的)
  • スタッフ動線:物品搬入→診察準備→カルテ整理→バックヤード(裏動線)

を明確に分けること。
特に電子カルテや検体搬送の流れがスムーズにできる“裏動線”があると、スタッフのストレスが激減し、業務効率が飛躍的に上がります。


③ 施術・処置室は“十分な広さ”と“物品収納力”が要

将来的に自費診療(点滴・注射・施術など)を導入する場合、処置室の“狭さ”は売上機会の損失になります。
同時に2人以上の施術ができるレイアウト、落ち着いて横になれるベッドスペース、処置カートを余裕で置ける幅が必要です。

加えて、物品や医療機器は時間とともに増えていきます。
「物が収まらず床に出る」ようでは、患者の信頼を失う原因にもなります。

✅ ポイント:

  • 施術ベッド間にカーテン+1.2m以上のスペース確保
  • 備品棚+クローゼット+台下収納など「3重構造」が理想
  • 動線を妨げないキャスター付き収納の活用も有効

受付・待合室の“印象と機能”が初診リピートを決める

■ 受付スペースは“顔”であり、“情報センター”でもある

クリニックの第一印象を決定づけるのが「受付」です。

ただし、単に笑顔の対応だけでなく、受付から診療準備・カルテ処理・会計業務・患者対応までを1人で担う設計は無理があります。

✅ 実務的には:

  • 受付台の幅は最低180cm以上(2名対応前提)
  • 背面収納+問診票+書類処理スペースを確保
  • 患者の“声”が通る設計(間仕切りやアクリル板の高さに注意)

■ 待合室は“ただの椅子置き場”ではない

患者満足度を大きく左右するのが待合室の環境です。
とくに初診の患者にとって、診察を受ける前に得られる印象は、そのクリニックを“選び続けるか”の判断材料になります。

✅ チェックポイント:

  • 照明は昼白色寄りで“清潔感と安心感”を演出
  • 患者同士の視線が合わない配置(対面避ける)
  • 健康教育ポスターやデジタルサイネージの設置(教育→信頼へ)
  • 小児科であればプレイスペース/高齢者なら腰かけやすい椅子の選定/発熱外来動線の確保

“見えない裏側”が診療効率を支える:スタッフ動線と物置設計

開業時は気づきにくいですが、日々の業務の中で物品や書類が想像以上に増えます。これに対応できない設計だと、

  • ストック棚があふれ、通路が狭くなる
  • 院内が乱雑に見える
  • 清掃・補充業務に時間がかかる

というような“生産性の敵”が発生します。

✅ 推奨:

  • 物置(ストックスペース)は診察室1部屋分の広さを目安に
  • 収納は「壁全面+可動棚」で対応力を持たせる
  • 使用頻度で棚を分ける「頻度別ゾーニング」が効果的

まとめ:内外装は“設備投資”ではなく“経営設計”である

クリニックの内外装は、ただの見た目や快適性の話ではありません。
それは、**診療効率を上げ、スタッフが働きやすく、患者の信頼を得るための“経営戦略そのもの”です。

特にこれからの時代、「診る力」以上に「仕組みを整える力」が必要とされます。
動線・広さ・収納・印象…そのひとつひとつが、患者満足と売上につながる道筋です。


俊爽会グループでは、実際の現場での動線設計や空間設計も含めて、クリニックの開業支援を行っています。
「うちはもう建てちゃったから…」という方でも、内装動線の改善提案やゾーニング変更だけで生産性が劇的に変わるケースもあります。

ご興味があれば、ぜひ一度ご相談ください。

クリニックの内外装=働きやすさ × 通いやすさ × 信頼の起点です。
経営を加速させる設計を、共に考えていきましょう。