クリニック経営:金融機関とどう向き合うべきか その2

クリニック経営:金融機関とどう向き合うべきか その2

第2回:銀行は事業計画書の「どこ」を見ているのか

― 融資審査は、ほぼ4点で決まる ―

いつも俊爽会グループのブログをご覧いただき、ありがとうございます。
俊爽会グループ スーパーバイザー(SV)の堀尾です。

前回は、融資が単なる「お金を借りる作業」ではなく、
クリニック経営の継続性を評価されるプロセスであることをお伝えしました。

今回は一歩踏み込み、
銀行が事業計画書のどこを見て、何で判断しているのか
できるだけ実務に即して整理します。

結論から言うと、
銀行が本当に見ているポイントは、ほぼ次の4つです。


銀行が最優先で見る4つのポイント

① 借入金額は「身の丈」に合っているか

銀行が最初に確認するのは、
「そもそも、この借入額は適切か」です。

  • 医療機器や内装が過剰ではないか
  • 想定患者数に対して広すぎないか
  • 初期投資が、売上規模に見合っているか

ここで警戒されるのは、
開業直後から固定費が重くなりすぎる設計です。

俊爽会グループでは、
「最初から理想を詰め込みすぎないこと」を
安定経営の第一歩と考えています。


② 保険診療だけで返済できるか

次に見られるのが、
返済原資が何かです。

ここで重要なのは、
銀行は原則として、

「保険診療売上のみで返済できるかどうか」

を見ているという点です。

自由診療(自費)は、

  • 再現性が低い
  • 個人依存が強い
  • 下振れリスクが高い

と判断されるため、
融資審査では前提に置かれません。

俊爽会としても、
「自費がなくても成り立つ構造」を
まず作るべきだと考えています。


③ 経費構造は「日常運転」を前提にしているか

銀行が売上以上に細かく見るのは、
日々の診療が無理なく回る設計になっているかどうかです。

特に確認されるのは、
・人件体制
・家賃水準

平均的な患者数、
特別な追い風も逆風もない状態で、
この体制が自然に回るか。

ここに無理がある計画は、
売上予測がどれだけ良くても評価されません。

銀行は、
『特別うまくいかなくても成立する姿』
を見ています。


④ 想定より悪くても「耐えられる」か

最後に見られるのが、
下振れ耐性です。

  • 患者数が想定の7割だったら?
  • 立ち上がりが半年遅れたら?
  • スタッフが1人欠けたら?

こうした状況でも、

「返済が止まらないか」
「資金が尽きないか」

を確認します。

俊爽会グループでは、
損益分岐点を低く抑える設計
非常に重視しています。

「うまくいった場合」よりも、
「うまくいかなかった場合に潰れないか」
これが、銀行評価の本質です。


よく誤解されるポイント

自費率は、融資の決め手ではない

自費収入は、
「あればプラス」ではありますが、
融資判断の前提にはなりません。

計画書では、

  • 自費がなくても返済可能
  • あくまで上振れ要素

として整理する方が、
現実的で評価されやすくなります。


人脈・紹介は、補足情報にとどまる

勤務医時代の紹介実績や人脈は、
書いてはいけないわけではありません。

ただし、

  • 数字として保証できない
  • 継続性が担保できない

ため、
融資可否を左右する要素ではありません。

銀行は、
「自然に患者が来る構造」を最も重視します。


俊爽会が考える「良い事業計画書」

俊爽会グループが考える良い事業計画書とは、

  • 銀行のためだけの資料
  • 見栄えの良い数字の羅列

ではありません。

それは、

「自分自身とスタッフを守り、地域医療を長く続けるための現実的な設計図」

です。

無理をしない。
背伸びをしない。
想定外が起きても耐えられる。

この姿勢こそが、
銀行からの信頼にもつながります。


次回予告:自己資金と「余力」の考え方

次回は、
「自己資金と属性をどう考えるべきか」
を、さらに実務寄りで解説します。

  • 自己資金は、いくらあれば十分なのか
  • 全額使い切るべきなのか
  • 銀行が見る「属性」の正体とは何か

感覚論ではなく、
融資実務に即した整理を行います。

ぜひ次回もご覧ください。