コンテンツ
はじめに:なぜ立地選定が“勝敗”を分けるのか?
先日、開業後3年経過しても1日の来院患者が30人未満という内科クリニックの院長先生から、ご相談を受けました。内容を伺うと、広告やサービス改善にも取り組んでいるにもかかわらず、そもそも“立地”が集患に向いていない場所であることが大きな要因でした。
どれだけ理念や医療技術が優れていても、「患者が通いたい」と思える場所にないクリニックは、スタートから苦戦を強いられます。
クリニック経営における立地選定とは、戦うフィールドを選ぶことそのものです。
俊爽会グループでも、開業前の最重要検討事項の一つとして「立地条件の分析と比較」に力を入れています。本記事では、最短で軌道に乗るための立地選定の考え方と、押さえておくべき具体的なチェックポイントをお伝えします。
立地選定の基本3原則:通いやすく、目立ち、差別化できる場所を選ぶ
① アクセスの良さ=患者・スタッフ双方の“通いやすさ”
最初に考えるべきは、通院・通勤の負担が少ないかという点です。
- 駅から徒歩5分以内
- 幹線道路沿いにある
- 周辺にバス停・送迎ポイントがある
これらは患者の「選びやすさ」に直結します。一方で、スタッフが通いにくい場所(バスが1時間に1本、駅から遠いなど)では人材確保にも苦労します。
✅ ポイント:
患者目線「雨の日でも通えるか」
スタッフ目線「公共交通+徒歩通勤のしやすさ」
② 駐車場と駐輪場:高齢者・ファミリー層が通えるか
とくに地方や郊外では、駐車場の有無と広さが集患の鍵になります。
お子様連れや高齢者が多い診療科(小児科・整形外科・内科)では、「敷地内に3台以上の専用駐車場があるか」が選ばれるかどうかに影響します。
また、スタッフにとっても「車通勤可」の条件は採用面での強みになります。
✅ ポイント:
- クリニックの専用駐車場か(他業種と共用だとトラブルリスクあり)
- 駐車場→受付までの導線が安全であるか(段差・雨避けなど)
- 駐輪場の確保(自転車で来る中高年層に配慮)
③ 競合との距離:あえて“バッティング”を避ける勇気
「この場所、便利だな」と思って近づいたら、すでに似た診療科のクリニックが徒歩3分圏内にある…というケースはよくあります。
競合の存在=参入障壁です。
しかし、そこで諦めてしまうのは、まだ早いです。診療科目が異なる場合や、競合の運営が時代に合っていない場合には、差別化の余地が十分あります。
✅ チェックポイント:
- 診療内容とターゲット層がバッティングしていないか
- 口コミ評価やHPの更新状況などから競合の“活性度”を見極める
- 自院の強み(たとえば女性医師・夜間診療・LINE予約など)との違い
立地選定に「未来の視点」を入れる:スタッフ採用・成長戦略を見越す
■ スタッフが「働きたい」と思える場所とは
開業直後は院長+少人数スタッフで運営するケースもありますが、事業拡大や安定運営を見越せばスタッフ採用力の高い立地が圧倒的に有利です。
- 近くに大型スーパーや商業施設がある
- 保育園・幼稚園から徒歩圏内で時短勤務がしやすい
- 若手が働くカフェや店舗が多く、まちに活気がある
これらは実はすべて、「働くスタッフの選択理由」になります。
■ 医療圏分析 × 人口動態の未来予測
クリニック経営は10年単位の視点が必要です。
その地域の人口動態、再開発の予定、新たな大型施設の建設計画などもチェックしておくと、将来的な集患のヒントになります。
✅ 調べておきたい情報源:
- 市区町村の都市計画・開発情報
- 駅前再開発プロジェクト
- 分譲住宅・マンション建設予定
- 高齢化率と子育て世帯の比率
俊爽会グループの立地選定実例:全人的医療と地域密着の両立
俊爽会では「患者にとっての便利さ」と「スタッフが働きやすい環境」を両立できる場所を最優先に選定しています。
たとえば、ある開業地では:
- 徒歩3分に駅、バス停、商業施設が集結
- 駐車場6台+バリアフリー導線
- 隣接に高齢者施設と保育園があり、連携が取りやすい
- 医師が3人揃っても回せる広さを想定してテナント設計
結果として、開業初月から安定した来院があり、1人当たり生産性も高水準を維持できています。
まとめ:立地選定は“経営戦略の8割”を決める
立地は、単なる「建てる場所」ではありません。
それは、患者の行動、スタッフの心理、そして院長自身の時間の使い方までを左右する、経営そのものの土台です。
「なぜこの場所にしたのか?」
「10年後も通い続けてもらえるか?」
「働く人も、患者も“選びたい”と思える場所か?」
この視点を持つだけで、開業後の景色は大きく変わります。
俊爽会グループでは、立地選定や診療圏分析を含めた開業支援と戦略設計をサポートしています。
もし今、立地で迷っていたり、開業後の集患に課題を感じているなら、ぜひ一度ご相談ください。
立地は「見える場所」ではなく、「選ばれる場所」を選ぶ時代です。
最短で軌道に乗るクリニックづくりを、共に考えていきましょう。